水の中で高速で移動できる船や魚と比べて、私たち人間は水の抵抗を受けやすく、水中移動の時は非常に都合の悪い形をしています。その水の抵抗とどう向き合うか?という課題に立ち向かいクリアしていくことで良い記録が生まれ気持ち良く泳ぐことができます。泳ぎの基本姿勢であるストリームライン(けのびでの姿勢)では、人間の複雑な身体の形をなるべく一直線に、なるべく細長くすることで水の抵抗を減らすことが求められます。
このコーナーでは理想のストリームラインを獲得するための情報を掲載します。私たちの身体は十人十色でそれぞれ違います。自らの理想のストリームラインを構築するためのヒントに少しでもなって頂ければと思います。
まず必要なのは体幹部の柔軟性と安定性
「あちゃ〜カラダ硬いんだよね〜」と思った方は速く泳げるようになるチャンスだと思ってください。
ストリームラインというと左右の手を頭の上で組み、首に隙間を作らないように頭を両腕で挟んだ格好を思い浮かべますね。これにより水の抵抗が限りなく少なくなってより速く泳げるように…って肩が硬くてうまく組めない、頭の上に手が来ない!なんか腰が辛い!と思っている方、実は体幹部の柔軟性の低下が原因であることがあります。
胸郭の柔軟性チェック
1、頭後ろで手を組み左右に傾ける運動に左右差はないか?
体幹部の安定性チェック
1、ベアトレーニングで腰が反らないか?
2、デッドバクトレーニングで腰が浮かないか?
3、ニーリングスーパーマンで腰が反らない、ブレないでできるか?
実は大切な下肢の柔軟性と筋力
ストリームラインの構築するのにあんまり関係なさそうな足回りの柔軟性ですが、実はとっても関係していて、一歩間違えれば姿勢を乱れさせているのは下半身かもしれないくらい重要なポイントになっています。
人間は2足歩行で生活をしていますが、まだまだ進化の途中なのか、4足歩行の名残があります。それは股関節(足の付け根の関節)の可動性です。さらにご先祖様の頃は水中をスイスイ泳いでいましたが、陸にあがり地球の重力に対抗するために、足が地面に対して垂直になり、その時股関節は体幹部に対して曲がっている状態になりました。進化の過程で人間は2足歩行を獲得したことで、体幹部に対して下半身はまた一直線に戻るのですが、まだ4足歩行の名残なのか股関節は曲がる方(腿上げ動作)はよく動きますが、伸ばす方(後ろに蹴る動作)はそんなに動かすことができません。
そんな身体的特徴があるためか、水泳ではダウンキック(背泳はアップキック)が強くなる傾向があり、股関節の前側、太腿の前側の筋肉が発達しやすくなり、その結果、股関節前&太腿前筋肉が緊張または縮こまり、骨盤を引っ張り前に傾いてしまいます。
体幹部の土台となる骨盤が前に傾いてしまうことで、上半身が真っ直ぐになることができず、結果として腰が反ったり、背中が丸まったりしてしまいます。なるべく真っ直ぐなストリームラインを目指す際に、実は下半身の柔軟性が関係してくるのはこういうカラクリがあるわけです。体幹部より先にチェックしてみても良いくらいです。早速下半身の柔軟性をチェックしてみましょう。
1、太もも前側の筋肉の柔軟性チェック
2、股関節前側の筋肉の柔軟性チェック
抱えた脚と反対側の足が地面から浮いてしまったら、浮いてしまった側の股関節が硬い証拠です。
その他にもこんなストレッチも試してみましょう
また抱えた脚が胸につかない場合、お尻の筋肉が硬い可能性があり、別の問題が出てくるので、それはこちらを参照してみましょう。
そして次に前側に対抗するべく後ろ側の筋力をチェック&鍛えて帳尻合わせもしてみましょう。
1、ヒップリフトができるか?
2、シングルヒップリフトができるか?
やっとこさ上肢の柔軟性と筋力
これでようやくストリームラインの土台が完成しました。よし腕を伸ばしてみよう!…腕が真上に挙がらなかったあなたは、肩周り腕周りの柔軟性や筋力が欠けている可能性があります。
元々硬い方はもちろんのこと、水泳を長く続けていると、水をかくための筋肉が発達していつの間にか硬くなっている可能性もありますので、継続したチェックが大切になります。
1、肩甲骨の動き内側、外側
2、猫のポーズ
柔らかさはあるけどキープできない場合、筋力がもう少し必要そうです。チャレンジしてみましょう。
1、ウォールバックブリッジ
2、IYTW
3、ソラシックローテーション
以上を参考に理想のストリームラインを構築してみましょう!